「男女の賃金格差はまだあるのか」という問いに対して、統計データは明確な答えを示しています。
賃金構造基本統計調査(2023年)をもとに、神奈川県の男女別・年齢別の所定内給与額を比較しました。
神奈川県 男女別・年齢別 所定内給与額(2023年)
| 年齢階級 | 男性 | 女性 | 差(男−女) | 女性は男性の |
|---|---|---|---|---|
| 20~24歳 | 238,500円 | 232,900円 | 5,600円 | 97.7% |
| 25~29歳 | 276,800円 | 257,500円 | 19,300円 | 93.0% |
| 30~34歳 | 318,500円 | 282,100円 | 36,400円 | 88.6% |
| 35~39歳 | 359,500円 | 291,600円 | 67,900円 | 81.1% |
| 40~44歳 | 408,500円 | 307,100円 | 101,400円 | 75.2% |
| 45~49歳 | 424,700円 | 311,800円 | 112,900円 | 73.4% |
| 50~54歳 | 452,700円 | 303,600円 | 149,100円 | 67.1% |
| 55~59歳 | 465,300円 | 315,800円 | 149,500円 | 67.9% |
20代は差が小さいが、30代から急速に開く
20〜24歳での差はわずか月5,600円(女性は男性の97.7%)と、ほぼ同水準です。しかし25〜29歳では約1.9万円の差となり、30代に入ると急速に広がります。40〜44歳では差が月10万円超(女性は男性の75.2%)となり、50〜54歳では約15万円(女性は男性の67.1%)まで開きます。
なぜ30代から差が広がるのか
この傾向の背景には、いくつかの構造的な要因があるとみられます。
第一に、出産・育児によるキャリア中断の影響です。多くの女性が30代に出産・育休を経験し、その後に非正規雇用やパートタイムに移行するケースがあります。これが30代以降の平均賃金を大幅に押し下げる効果を持ちます。
第二に、管理職比率の差です。40〜50代は管理職に就くかどうかで賃金が大きく分かれますが、管理職比率は依然として男性の方が高い企業が多く、この構造差が統計に反映されています。
第三に、業種・職種の選択の違いも影響しています。相対的に賃金の高い情報通信・金融・製造業では男性比率が高く、相対的に賃金の低い医療・福祉・サービス業では女性比率が高い傾向があります。
神奈川県の特徴
神奈川県は日産自動車・富士通・ソニー(厚木テクノロジーセンター)など製造業・IT系の大企業が多く、これらの業種では男性比率が高い傾向があります。一方、横浜市・川崎市には医療・介護施設も多く、相対的に女性比率が高いこれらの職種の賃金も統計に加算されており、格差が開く構造になっているとみられます。
まとめ
- 20代前半の男女賃金差は月わずか5,600円とほぼ同水準
- 30代から差が急拡大し、40代以降は月10万円超の格差
- 50代では女性の平均賃金は男性の約67〜68%にとどまる
- 差の主な要因は育児によるキャリア中断・管理職比率・業種選択の差
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年(e-Stat)