「北関東」とひとまとめに語られることの多い茨城・栃木・群馬の3県ですが、実は賃金水準にはかなりの差があります。同じ製造業が盛んな県でも、どんな企業・産業が集まっているかで賃金は大きく変わります。賃金構造基本統計調査のデータで3県を比べてみましょう。
年齢計の賃金ランキング(2023年・男女計)
| 順位 | 都県 | 所定内給与額(年齢計) | 東京比 |
|---|---|---|---|
| 関東3位 | 栃木県 | 355,400円 | 89.5% |
| 関東5位 | 茨城県 | 340,600円 | 85.8% |
| 関東7位 | 群馬県 | 326,600円 | 82.3% |
| 参考 | 東京都 | 397,000円 | 100% |
栃木と群馬の差は月28,800円(年換算で約34.6万円)。同じ北関東でも3県間で「東京との差額」が異なります。
年齢別3県比較
| 年齢階級 | 茨城県 | 栃木県 | 群馬県 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 243,000円 | 241,300円 | 239,900円 |
| 25〜29歳 | 281,500円 | 282,800円 | 273,700円 |
| 30〜34歳 | 322,900円 | 329,300円 | 300,700円 |
| 35〜39歳 | 357,900円 | 353,600円 | 333,400円 |
| 40〜44歳 | 367,900円 | 385,900円 | 352,600円 |
| 45〜49歳 | 366,400円 | 388,600円 | 360,700円 |
| 50〜54歳 | 385,000円 | 419,100円 | 366,700円 |
| 55〜59歳 | 380,200円 | 431,700円 | 378,000円 |
| 60〜64歳 | 323,200円 | 311,000円 | 309,300円 |
ポイント①:20代は3県ともほぼ横並び
20〜24歳は茨城243,000円・栃木241,300円・群馬239,900円と3,100円差しかありません。新卒採用時の初任給は企業の規模・業種より地域差のほうが小さく、北関東の製造業は同水準のスタートラインから始まります。
ポイント②:40代以降で栃木が急上昇
30代前半(30〜34歳)では茨城が最も高い(322,900円 vs 栃木329,300円 vs 群馬300,700円)のに対し、40歳を超えると栃木が突出し始めます。
40〜44歳での差:
- 栃木385,900円 - 茨城367,900円 = 18,000円差
- 栃木385,900円 - 群馬352,600円 = 33,300円差
50〜54歳になると栃木419,100円 vs 茨城385,000円(34,100円差)、群馬366,700円(52,400円差)まで拡大します。
ホンダ・日産・キヤノンといった大企業の技術管理職が40〜50代に高い賃金を受け取る構造が、栃木の50代の突出した数字に表れています。
ポイント③:群馬は30代の上昇が最も緩やか
群馬の30〜34歳(300,700円)は3県で最下位であり、25〜29歳(273,700円)からの上昇幅(+27,000円)も最小です。SUBARU・関連会社の技能職は30代前半でまだ評価が低い位置にいることが多く、賃金ジャンプが40代以降になる傾向があります。
ポイント④:茨城の35〜39歳が最高
35〜39歳では茨城357,900円が3県でトップになります。これはこの年代での茨城の技能職・専門職の評価が高いことを示しており、日立製作所グループの製造ラインでの職長・班長昇進が30代後半に集中していることが反映されています。
3県それぞれの「勝ち方」
| 都県 | 強みのある年代 | 主要産業 |
|---|---|---|
| 茨城 | 35〜39歳 | 日立グループ、つくば研究機関 |
| 栃木 | 40〜59歳 | ホンダ、日産、キヤノン |
| 群馬 | 年齢計最下位 | SUBARU、共働きで世帯収入補完 |
まとめ
- 北関東3県の賃金序列は栃木(355,400円)> 茨城(340,600円)> 群馬(326,600円)
- 20代はほぼ横並び(3,100円差)だが、40代以降で栃木が大きく抜け出す
- 栃木の50代は茨城・群馬と月3〜5万円の差がつく(大企業の管理職・技術職の影響)
- 群馬は賃金最下位だが共働き率が高く、世帯収入では統計上より実態が良い
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(政府統計の総合窓口 e-Stat)