東京都では、どの業種の所定内給与額が高いのでしょうか。この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の東京都データをもとに、男女計・年齢計・企業規模計の公表値を整理し、業種ごとの水準差を確認します。
東京都は大企業本社や専門職が集まりやすい地域ですが、このページでまず確認するのは公表されている順位と数値です。そのうえで、背景にある産業構造は補足的に読み解きます。
東京都 主要業種別 所定内給与額ランキング(2023年・男女計・年齢計・企業規模計)
| 順位 | 業種 | 所定内給与額(千円) |
|---|---|---|
| 1位 | 化学工業 | 638.0 |
| 2位 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 551.8 |
| 3位 | 鉄鋼業 | 535.8 |
| 4位 | 情報通信機械器具製造業 | 522.3 |
| 5位 | 金融業,保険業 | 519.3 |
| 6位 | 広告業 | 517.0 |
| 7位 | 専門サービス業 | 493.3 |
| 8位 | 学校教育 | 492.1 |
| 9位 | 学術研究,専門・技術サービス業 | 484.3 |
| 10位 | 情報通信業(計) | 約475.0 |
| 中位 | 建設業 | 約380.0 |
| 低位 | 宿泊業,飲食サービス業 | 約240.0 |
| 最低水準 | 生活関連サービス・娯楽業 | 約235.0 |
※出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)東京都・男女計・年齢計・企業規模計
まず数字を見る:上位は50万円台、下位は20万円台前半
公表値では、東京都の化学工業が638.0千円で最も高く、電気・ガス・熱供給・水道業、鉄鋼業、情報通信機械器具製造業、金融業・保険業が続いています。上位業種はおおむね月額50万円前後、またはそれ以上の水準です。
一方で、宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス・娯楽業は200千円台前半にとどまっています。東京都内でも、業種によって所定内給与額に大きな差があることが分かります。
化学工業が最上位にある点はどう読むか
化学工業が東京都で最上位にあるのは意外に見えるかもしれません。ただし、東京都には製薬・化学メーカーの本社機能や研究開発、企画、営業などの部門が集まりやすいという見方ができます。
そのため、この数値は東京都内の製造現場だけを表しているというより、東京に集まりやすい本社・専門職・管理職を含んだ構成を反映している可能性があります。もっとも、これは地域構造を踏まえた解釈であり、統計表そのものが背景要因を直接示しているわけではありません。
IT・金融も高水準
金融業・保険業が519.3千円、情報通信機械器具製造業が522.3千円、情報通信業(計)も約475.0千円と高めです。東京都は外資系金融、IT、広告、専門サービスなどが集積しているため、これらの業種が上位に入りやすい構造を持っています。
ただし、ここで使っているのは業界内の平均値です。一部の高年収職種だけではなく、事務職や補助職なども含んだ公表値として読む必要があります。
上位と下位の差は大きい
最上位の化学工業(638.0千円)と、低位の宿泊業・飲食サービス業(約240.0千円)、生活関連サービス・娯楽業(約235.0千円)の間には、月40万円前後の差があります。東京都の平均賃金が高いと言われるときも、すべての業種が一様に高いわけではないことが分かります。
このランキングを読むときの注意点
このランキングは所定内給与額を基準にしています。賞与、残業代、歩合給などは含まれていないため、実際の年収順位と一致するとは限りません。また、男女計・年齢計・企業規模計なので、若手だけ、女性だけ、大企業だけを見た数値ではありません。
したがって、このページは「東京都の業種間格差の大きさを確認するための入口」として読むのが適切です。
背景として考えられること
東京都の業種別賃金は、全国平均よりも、本社機能・金融・情報通信・専門サービスの集積がどこまで平均を押し上げているかを見る材料になります。上位業種に高付加価値な都市型産業が並ぶなら、それは東京都の産業構造そのものを反映した結果と考えやすいです。
一方、宿泊・飲食や生活関連サービスが低位に出ても不思議ではありません。需要が大きい都市でも、労働集約型サービスの賃金が急に高くなるわけではないため、東京の高賃金イメージと業種別の現実には差があります。つまり、東京都の平均を押し上げているのは都市サービス全般ではなく、一部の高付加価値業種である、という読み方が数字に合います。
まとめ
- 東京都では、化学工業、電気・ガス、鉄鋼、情報通信機械器具製造業、金融業・保険業などが高水準
- IT・金融・広告・専門サービスが上位に並ぶのは、東京都の産業集積と整合的に見える
- 宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス・娯楽業は相対的に低い
- 東京都の平均賃金の高さは、高賃金業種の厚みを含んだ結果として読む必要がある
出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)
📊 分析ノート
本記事は以下の統計データをもとに作成しています。
- 使用統計:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(統計表ID:0003426933、e-Statで見る)
- 指標:所定内給与額(月額)
- 集計条件:男女計・年齢計・企業規模計
- 対象地域:東京都
- 対象年:2023年
- 独自集計:公表表から主要業種を抽出し、所定内給与額順に整理
- データ取得日:2026年6月6日
- 注意点:本文の背景説明には東京都の産業構造を踏まえた考察が含まれます。統計表から直接確認できる順位・数値と、背景要因の解釈は分けて読む必要があります。
※ グラフ・表の数値は上記統計データをもとに独自に集計・可視化したものです。